片耳だけ聞こえにくい場合
もう片方の耳は問題なく聞こえるが・・・
「普段はそこまで不便は少ないものの、方向によって聞き取りづらい」
「騒がしい場所や、複数人での会話が苦手で困っている」
「小さい声やささやくような声だと聞き取れているか不安」
このようなご相談をいただくケースがあります。
こういった場合まず、悪い側の耳に補聴器をつけることを第一に考えますが
聴力によっては、それではどうしても補聴器の効果が得られない場合があります。
例えば下記のような場合です。
・なかなか良い側の耳と同じ水準に聞き取れる事が難しい
・音としては聞こえるけど、言葉がわからない(言葉として聞き取りづらい)
・雑音のように感じたり、音が響いてばかりで、よく聞こえない
左右の聴力差が大きい場合や補聴器の効果が得られない場合などには
クロス補聴器(クロス補聴システム)という選択肢があります。
カタカナで「クロス」英語で「CROS」とメーカーによって表記はまちまちですが、どちらも意味は同じです。
クロス補聴器とは
片耳難聴の解決策のひとつ
悪い側の耳方向からの音を良い側の耳に転送してくれます。
・悪い側の耳にはクロス送信機(集音マイクの役割)
・良い側の耳には通常の補聴器(マイクで拾った音を聞く役割)
をつけて使用します。
悪い側の耳方向からの音を良い側の耳に転送してくれます。
悪い側の耳方向の音情報をクロス送信機が代わりにキャッチして
良い側の耳の補聴器に無線の電波で転送してくれます。
苦手で聞こえにくい悪い側の耳方向の音をカバーして
良い側の耳で聞こえさせてくれるわけです。
厳密には悪い側の耳で聞いているわけではないという事がポイントです。
悪い側の耳につけているのは、あくまで集音マイク(補聴器ではない)で
実際に音を聞いているのは良い側の耳なのです。
総称して「クロス補聴器」という事が多いですが
正確には「クロス補聴システム」とか「CROSシステム」などというのが
正しい表現かと思われます。
悪い側の耳の聞こえを助ける(代わりに音を拾ってくれる)
片耳難聴の解決策のひとつです。
メリットとデメリット
⚪︎メリット
聞こえの範囲が広がること
→悪い側の耳方向の音に気づきやすくなったり
悪い側の耳方向の会話を聞き取ることができる。
向きや位置を気にせずに会話がしやすくなること
→悪い側の耳方向からの声かけや、どこから音がくるかわからないような
複数人の会話でも、向きや位置を気にせず会話がしやすくなる。
⚪︎デメリット
両耳分2台用意が必要なこと
片耳難聴であるのに両耳分に補聴器と送信機をつける必要があります。
比較的抵抗の少ない耳栓をつけますが、最初は少なからず
抵抗があるかもしれません。費用も2台分必要となります。
音の方向感覚がわかりにくいこと
聞こえが悪い側の耳からの音も、良い側の耳の補聴器で聞こえるわけですから
悪く言えば、どちらの方向からの音なのか?がつかみにくい部分があります。
実際に試してみよう
当店では補聴器1ヶ月無料体験を行っています。
クロス補聴器もお貸し出しの準備がありますので、お気軽にお問い合わせください。
実際に使い勝手や聞こえ具合を体験してみる事によって検討材料にしていただければと思います。
クロスの種類・方式
クロス(CROS)
悪い側の耳方向の音を転送して、良い側の耳で聞こえるようにする形
(悪い側の耳方向の音の転送のみ)
バイクロス(BiCROS)
悪い側の耳方向の音を転送して、良い側の耳で聞こえるようにすることに加えて
良い側の耳の聞こえづらさも補聴器でカバーする形
(悪い側の耳方向の音の転送+良い側の耳の補聴器機能)
クロスの種類・ラインナップ
主にRICタイプが一般的
各メーカーともRICタイプでの取り扱いが一般的です。
耳穴型の取り扱いもあります(フォナックのみ)
電池式も充電式もそれぞれの対応があります。
対応できる機種に注意
良い側の耳につける補聴器の形やシリーズ、クラスによっては
対応できない機種もありますので注意が必要です。
ご不明な点がございましたら、当店までお問い合わせください。